プラトニック・ラブ





高校生ごときのあたしが訊いたところでどうにもならないかもしれない。


けれど訊くことぐらいならあたしにだってできる。



「んー…まぁ仕事関係でさ。いろいろあるわけよ」



「そうなんですか…」



〝仕事関係〟


あたしには何1つ理解できない世界。



迅さんがどういう仕事をしているのか分からないけど、トップの企業に勤めているということだけは知っている。



トップの企業。


あたしには理解できないような大変なことがたくさんあるんだろう。



ただでさえ〝櫻井グループの跡取り息子〟って肩書きだけで大変そうなのに。




「瑠璃」




ドキンっと跳ねる心臓。


やっぱり迅さんがあたしの名前を呼ぶとドキドキする。



「な…なんですか…?」



こんなに密着していたらこのドキドキを感じられてしまっているかもしれない。


けれど隠すにも隠しようがない。