ぐっと肩を寄せる。
買い物袋が邪魔で上手く後ろにさがることができない。
ちょうど顔の横に迅さんの気配を感じる。
どうやらキスではないらしいけど、何かをされそうなことには変わりない。
迅さんの柔らかい髪がふっと頬に触れた瞬間、ドキンっと大きく心臓が跳ねた。
ドキドキ鳴る心臓。
そのせいで上手く喋ることができない。
「ひっ…や、ちょ、まっ…!!!」
あたしは目をギュっと瞑ったまま言葉を漏らす。
そんなパニックなあたしの耳元で迅さんは小さく笑った。
「何慌ててんだよ」
…笑われた。
あたしはキっと視線を上げる。
バチンっと合わさる視線。
けれどあたしの目力より迅さんの目力の方が強かった。
あたしは負け、視線を逸らしてしまった。

