ちょっとビックリ驚いた。
けれどそんな暇なんてない。
これがチャンスと思ったあたしは、迅さんの腕の中で暴れてみる。
効果なし。
逆に暴れた瞬間ギュっと力強く抱きしめられた。
逆効果。
離れるどころか密着してしまった。
「むうううぅ…っ」
どうしたらいいのか分からないあたしは、躊躇せず遠慮せずに暴れてみる。
けれど効果なし。
困ったあたしは脱力するしかなかった。
恥ずかしすぎて涙が出てきそうになる。
「…離してください」
気力をなくしたあたしは、脱力したまま消えそうな声で呟く。
この体勢は心臓に悪い。
初めての距離―――体温に心臓は爆発寸前。

