な…っ。
男性に抱きしめられている。
それは初めての体験で。
今まで自分もそうしてたんだってことに気づくと、ピンチだったとか関係なしに何をしていたんだろうと恥ずかしくなった。
迅さんはあたしの耳元に口を寄せたその体勢のまま、言葉を続ける。
「助けてやったんだぜ?」
ドキドキして眩暈までしてきたあたしは、黙ってたら倒れるかもしれないって本気で思ったから、
「だ…だから、感謝してるって…言って…」
呼吸を繰り返しながらゆっくりと言葉を吐き出す。
そのせいで上手く言葉が続かない。
酸欠かもしれない。
風呂上りのように頭がボーっとしてきた。
必死のあたしの言葉に、迅さんは小さく笑うと、
「あぁ。 それはさっき訊いた」
意地悪っぽい声で言う。
ヤバイ。
あたし…どうした…?

