あたしは迅さんの顔を見つめたまま瞳で訴え続ける。
すると何を思ったか。
迅さんはあたしの背中に手を回した。
突然のことにあたしはピクリと背筋を伸ばす。
迅さんの手はあたしを擽るかのようにゆっくりと下に下がって行く。
…え?
「どうかしたのですか?」
迅さんは相変わらず穏やかな声色で訊く。
あたしのこと?! なんて一瞬驚いたけど、
「え…? あっ…と…」
先生が困ったように戸惑った声を出したから、どうやら迅さんは先生に話しているらしいことが分かった。
迅さんが櫻井グループの社長―――ここの理事長の息子だからなのか、先生の態度が面白い。
普通に校長以上の権力を持っているんじゃないかと思う。
迅さんは最強だった。
なんて良い人を味方につけたんだろう。
なんて思ったときだった。

