お母さんはポカーンっと天井を見上げながら、いつもと変わらない、むしろいつもよりふざけてるんじゃないかって口調で、
「あー…そう言えば櫻井グループの社長なんだっけー?」
んー、なんて人差し指をコメカミにあてながら悩んでいるよう。
「……………、」
…ダメだ。
あたしのお母さんはこんなにも馬鹿だったらしい。
馬鹿というか天然なのかもしれない。
何となくアイツ―――迅さんの言葉とお母さんのこの言い方からして、同姓同名の間違いではないんだろうなぁと思った。
…マジかよ。
ド貧乏のウチと超金持ちの櫻井グループが知り合いだった?
まさかの展開。
一体どこで繋がっているんだろう。
「んで、何々? えいちゃんが何?」
お母さんが阿呆なせいで、何だかどうでも良くなってきたあたしは、
「その〝えいちゃん〟の息子と結婚することになったー」
立てた膝に顎を乗せながら、あたしは棒読みでボソっと呟いた。

