「えいちゃん?」
…は?
突然のその言葉。
馴れ馴れしい愛称―――ニックネームでの呼び方に、あたしは驚いて目を見開いた。
〝えいちゃん〟という謎の愛称。
慣れ慣れしすぎるにもほどがある。
トップの櫻井グループの社長さんに〝えいちゃん〟ってどういうこと…?
それことふざけてるとしか思えない。
もしくは同姓同名の人と間違えているとしか思えない。
あたしは疑いの眼をお母さんに向けたまま、尋ねるように問いかける。
「お母さん…知ってるの…?」
「櫻井英二って、えいちゃんでしょ? えいちゃんなら知ってるけどそれが何?」
堂々と愛称を口にするお母さんに、あたしは詰め寄りながら、
「櫻井グループの社長だよ?! 同姓同名じゃない?! 間違ってない?!」
間違いだったー、なんかじゃ済まないことだから、あたしは必死になって問い詰めるように訊く。
えいちゃんでしょ? なんて訊かれてもあたしには分からない。

