「何これー」
ちょっとしたミスがマズかった。
ボーっとしていたら突っ込んできた瑠子に見事婚姻届を奪い取られてしまった。
「ちょ…っ!!!」
手を伸ばすが―――届かない。
バランスを失ったあたしは、そのまま地べたに突っ伏す形になってしまった。
そのまま瑠子はあたしをすり抜けお母さんの元へと走り寄って行ってしまう。
「瑠子!! ちょっと待ってッ!!」
そう叫んでも遅かった。
婚姻届は瑠子の手からお母さんの手へと移っていた。
終わった…。
あたしは瑠子へと手を伸ばしたまま、虚しく床に突っ伏した。
あぁあぁ…見られた…。
お母さんの第一声がコワい。
けれど、
「瑠璃、これ何ー?」
いつもと変わらない―――ただ普通に不思議そうな声だったから、あたしはホっと安堵した。

