あたしは気づかれないように小さく拳を固める。


いつでもオーケーな状態。



あとはアイツの隙を伺うだけ。





―――いざっ!!!!!




なんて意気込んで拳を振ってみたけれど。





――――――――ガシ




「ありゃあ…?」



何が悪かったのか分からない。


どこがダメだったのか分からない。



あたしの両腕は見事上手にキャッチされていた。


ガッチリ掴まれた腕はソイツに捕まったまま動けない。




…ミスった。



隙をついたはずなのにダメだった。


ダメっていうか逆にピンチになった。