あたしは俯いて、絶対に気づかれないように注意しながら舌打ちをした。
眼中にないことくらいは分かっていたけど、まさかそこまで格下に思われていたなんて悔しい。
「…ふん」
少し落ち着いて考えてみると、いろいろ気になることばかりだった。
この車は何だ?
これは誰のだ?
勝手に乗っていいのか?
ってか普通に乗ったけど、このまま拉致すんじゃねぇぞ?
…あたしをどこに連れて行く気だよ。
「…どこに行くんですか?」
「着けば分かる」
だからそんなことは分かってるんだってば!!
逃げるに逃げられない状況。
もちろんのことながら、グングン進んでいる車内から車外へ飛び出る事なんてできるわけがない。

