いきなりのことにあたしは声にならない悲鳴を上げ、反対側のドアに向けて顔面ダイブした。
結局顔面ダイブは逃れられないらしい。
ちょこっと涙出た。
「…い…っ」
あたしはペタンと座席に座ったまま、両手で顔を覆い唸り声を上げる。
一瞬本気で鼻がへし折れたかと思った。
これ以上不細工になったらどう対処してくれるというんだろう…。
ソイツは悠々と車内に入ってくるとあたしの隣に座り、
「行け」
何とも偉そうな口調で運転手に命令した。
何が起きたのか理解できないあたしは、暫し両手で顔を覆ったまま停止。
…痛い。
いつまでたっても座席に座り込んだまま、足を下に下ろそうとしないあたしに、ソイツは迷惑そうな顔をしたまま、
「汚れるから足下ろせ」
そう言う。
こんな痛い思いをさせた張本人はコイツなのに、そんなことを言わないでほしい。

