暫し天井と睨めっこ。
すると突然、あたしの顔を覗き込むように、横からニョキっと人間が登場した。
あたしは暫しフリーズしたままその顔を見つめ、
「―――げ。」
言葉を零した。
「〝げ〟?! 〝げ〟とは何です?! 〝げ〟とはっ!!」
横から出てきたのは、捕まると厄介な生活指導のオバちゃんだった。
うわお…。
有り得ない。
とんだ災難だ。
隣に座っている美沙は〝お気の毒に〟とでも言いたそうな顔をしてあたしを見つめていた。
立ったらいいのか座ったらいいのか分からないあたしは、何もできずに寝転がったままの状態でいるしかなかった。
あぁ…もう…後ろの席の男子引いてるよ…。
恥ずかしすぎる。
だけれどこの状況を回避する術をあたしは知らない。

