1年生徒が全員決められた席に着いて静まるなり、再びアナウンスが体育館に響いた。
『今日集まってもらったのは―――…』
良かった良かった。
バイトのことじゃなかった、と思った瞬間硬くなっていた体全身が一気に軽くなった気がした。
『櫻井さんのお話があります。 しっかりと訊いてください』
結局、どこかの偉い人の話らしかった。
なんだよ、まったく。
驚かせるんじゃねぇよ…。
気が抜けた所為か、それとも椅子が後ろの方だという所為か。
あたしの意識は偉い人の話が始まったと同時に飛んでいった。
――――…
「……み…ん」
あぁ…ウルサイ。
耳の辺りを蚊が飛んでる。
ブンブンなのかミンミンなのか分からない、羽音なのかすら分からない音が耳に微かに聞こえてくる。

