プラトニック・ラブ





『1年生のみなさんは体育館に集まってください』



突然流れたアナウンスに、あたしたちはスピーカーに視線を向ける。


4月の始めのせいなのか、こうして1年生だけよく集められる。



「行こう」



あたしはそう言って立ち上がると、美沙も続くようにして立ち上がった。



体育館までの道のりは遠く、最上階5階から2階まで降りなくてはいけない。


こんなとき早く下の階―――3年生になりたいと思う。



すると突然、美沙は何かを思い閃いたかのように顔を真っ青にさせながら呟いた。



「も…もしかして瑠璃ちゃんのバイトが知られちゃったんじゃ…?」



そんなことを言う美沙に、あたしは慌てて言う。



「そ…そんなことないでしょ!! あたしまだバイトしてないし、美沙以外に話してないもんっ!!」



変なことは言わないでほしい。


冗談でもやめてほしい。



なんて言ったってあたしはまだバイトをしていないんだ。


あれは…始まったことになっていない。