あたし達の間に未だ喧嘩というのは存在しない。


理由は簡単で、あたしと美沙は両方とも自分が悪いと思ったらすぐに謝るからだ。



簡単に言えば素直同士。


そんな感じだからなのか、すぐに溶け合うことができたのかもしれない。



「で、何々?」



状況を分かってくれたらしい美沙は、顔をあたしの方に近づけて囁いた。


あたしは後ろの席の美沙に体を向けるように椅子を回転させ、向き合うなり口を開いた。



コソコソ話突入。




「ほら、前言ったじゃん? あたしの家貧乏だって」



美沙には既にあたしの家の事情を話してある。


だからこそバイトの話しができるのだ。



「うんうん。 それでバイトを探しているの?」



美沙の疑問に、あたしはコクンと頷く。