あたしの腕には何も傷がなかった。 その代わり、爽の腕に傷があった。 「馬鹿かっ!!伊吹はな…伊吹は…お前に死んでほしくなくて事故から避けたんだろうが!!伊吹が助けた命無駄にするな!!」 「伊吹が助けた命…」 「そうよ?伊吹は…由実ちゃんを守ったの!!だから、だから…伊吹の分も由実ちゃんが生きて!!」 伊吹のお母様はあたしをきつく抱き締めた。