ただ単純に、どこかへ逃げたかった。
どこまでも飛んで行きたかった。
どこまでも飛んで飛んで世界を一周して、誰もいないあたしだけの世界を見つけたかった。
けれど自由が欲しいわけではない。
そう言ってしまえば「何が欲しいの?」と、聞かれるかもしれない。
けれど自由が欲しいわけではない。
それでもあたしは何かを求めながら生きていた。
知ってる。
叶うはずなんて1%もないことを。
知ってる。
視界が晴れることはないことを。
知ってる。
あたしの背中に翼なんて生えないことを。
知ってる。
未来がないことも。
何もかも知っている。
全て分かっている。

