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次の日。



俺はまた夜遅くに帰宅した。


千秋、体調悪そうだったし…

もう寝てるかもしれない。


俺は出来るだけ物音をたてずに静かに家に入る。


リビングのドアノブを掴んだ時、

中から千秋の声がした。



誰かと会話してるような話し方。

…電話してんのか?



俺は、無意識に聞き耳をたてた。




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「…うん。
毎日気持ち悪いよ…吐いても楽にならないし…
でもあと少しの辛抱だから…ぅ…ぅ」



「…大丈夫×2。
…それにしても…
もうすぐお母さんかぁ…
実感湧かない…なぁ」





…へ?




…もうすぐお母さん?




…最近のあの吐き気は…かの有名なつわり?!?!





俺は動揺しつつも、また千秋の会話に集中する。




「まだ奏には話してないの。サプライズで話したいから、まだ内緒にしとく♪」



「…楽しみだなぁ♪
あたし、男の子ばっかりがいいなぁ♪」




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間違いない…



千秋は妊娠したんだ。



俺…父親になるんだ?



なんだ…この気持ち。



嬉しい通り越して、



鳥肌が立つ…



急に胸がキュッとした。



母性じゃないけど、きっとそれに近いモノが湧き出てきた。






…婚姻届用意しないと!!


…千秋の御両親に挨拶しないと!!


…俺の親にも言わねぇとな。



…俺…仕事頑張らなきゃな。