その瞬間、携帯が震える。


頑張ってポケットから携帯を出して、通話ボタンを押したところで


「電話なんて出んなよ」


って原敏史さんが私の手を払ったから、携帯が草の上に落ちてしまった。


『つくしちゃん?』


あ…空先輩の声。


『つくしちゃん?おい、つくしちゃん!』


電話に出たいけどそれを許してくれない原敏史さんの手。


腕をがっちり捕まれてしまって身動きが取れない。


それにベンチに押し倒されるなんて初めてで、不安で涙が出そうになる。



「…あんただって男いるくせにこんなところに来たらだめだろ」