だって原敏史さんの浮気なんて初めてじゃなくて。
今回だって…そんな別れるなんて思わなかった。
「もう無理って言われちゃって」
そういう原敏史さんの切ない横顔を見てるだけで、私までどんどん悲しくなってくる。
「…オレ、朱音しかいないんだよ」
「うん」
「…でも仕方ないよな」
「……え?」
仕方ないと言われた瞬間、視界が一瞬真っ暗になって…
「こんなことしても…もう怒ってくれないんだよな」
そういう原敏史さんが私の上にいて…
その後ろには赤い夕焼け。
背中には堅いものが。
「ここでこれ、使おうよ」
ポケットから出されたそれを見た瞬間、一気に熱が上がって一一…
私でもわかる。朱音のバックの中から出てきたこともあるから。
…ゴムってわかる。


