お互い話しはじめないで、虫の声しかしない公園。


私達以外、公園には誰もいなくて。


真っ赤な夕日と、虫たちの鳴き声がもう秋だよと言っている。



「…オレ彼女いないし」


私は驚いて原敏史さんを見る。


「で、でも中学の時から付き合ってたって…」


私の弱々しい声が小さく響く。


「朱音…だろ?」


「はい」


「…別れたから」


「え?」


「昨日朱音がここまで来て、別れようって」



一一一まさかだった。