すると、少し慌てたように空先輩は言った。 『そうじゃなくて…!っていうか顔知らないの? そしたらソイツのふりして連れ去られることだって…』 「え、聞き取れなくて…もう一回いいですか?」 最後の方がよく聞こえなくて、聞き返したところで 「あれ、どうしたの?誰か待ってるの?」 誰かに声を掛けられて顔を上げる。 金髪まではいかないけど明るい茶色の髪に、右耳にはピアスが3つ。 怖そうな外見からは想像できないような、柔らかい微笑んだ顔。 ふと名札を見ると 「…原敏史」