「いや、びっくりしたよ。だけどすぐに彼氏とトラブったんだなってわかったから無理に止めなかったんだけど」


目の前にあった水に手を伸ばす拓ちゃん。


水を少し飲んでから拓ちゃんはこう言った。


「止めた方がよかった?」


「……え?」


「だって浮かない顔してんだもん。ここに来るべきじゃなかった、できれば今すぐ帰りたい、って感じの」


だろ?と言う拓ちゃんに何も言えない私。


そう、拓ちゃんの言葉は図星だ。


出来ることなら帰りたい。


でも今の朱音を置いて帰る訳にもいかない。


「まぁ、つくし優しいからね。帰らないっつーか帰れないだろうけど」


うーん、と伸びをする拓ちゃん。


拓ちゃんはやっぱり、私の気持ちがわかってる。