きゅっと下唇を噛んだ朱音。 「今度こそって…信じてたのに」 俯いた朱音の瞳から滴が落ちる。 「朱音…」 胸が締め付けられる気持ちになって、たまらずそう呟いた。 静かになったカラオケボックスで、いきなり携帯の着信音が鳴り響いた。 「わっ、私のだ」 慌てて鞄から携帯を取り出す私。 「空…だ」 ディスプレイを見て、少しだけ手が止まる。 朱音の前で空と電話するなんて、少しためらってしまう。 「出なよ」 私の気持ちを悟ったかのように言った朱音に、私は安心して通話ボタンを押した。