行こう、と歩きだした途端。


「何か用ですか?先輩」


後ろからかけられた言葉に振り返る。


「拓馬…」


「オレたち一年の階に来るなんて。しかもこの教室の前」


もしかして、つくしに会いに来ました?


そう言う拓馬は、どこか余裕そうで。

その口調がムカつく。


「ただ通りかかっただけだよ」


にこっと作り笑いを浮かべてみせる。


すると拓馬は、はーとため息をついて


「先輩も罪ですね」


「…は?」


「いくらモテるからって二人も手ぇ出しちゃダメですよ」