気付いても、オレは涙を拭くことは出来ないから。 「やっぱケーキ屋さん行こうよ!」 タンタンとリズムよく、屋上への階段を上る。 「ごめんね」 「ねぇ〜いいじゃん」 「ダメ」 そう言って屋上のドアを開けた。 「ねぇ、今日くらいいいでしょー?」 「無理だって」 知美の誘いを否定する。 文化祭が近い今日だから…一緒に帰りたいんだ。 「なんでよ。最近冷たくない?」 「そんなことないよ」 少しだけ低くなった知美の声に、いつものように答えてみせる。