オレは何も答えず、飲み終わった紙パックをごみ箱に入れた。 そして振り替えって、 「どうかな?」 と、笑って見せた。 そのまま知美の隣を通り過ぎて、オレは屋上へと向かう。 後ろからタンタンと小走りな靴音。 知美が着いて来ていることは見なくてもわかっている。 何も言ってこない知美のことが、少しだけ気になるがそのまま歩き続ける。 でも次の知美の言葉で、オレは足を止めた。 「それって谷崎つくしでしょ」