「ねー、ケーキ屋さん行かない?」 屋上で空を眺めてると、視界に知美が入ってきた。 「行かないよ」 ニコッと微笑み、柔らかく否定する。 「えー、すごく美味しいんだって!」 何回も言う知美に、オレは答える。 「でも甘いもの好きじゃないし」 「でも嫌いでもないでしょ?」 「…………」 言う言葉が見つからない。 すぱっと言われてしまって、オレは微笑んだ表情のまま固まる。 「いいよね?」 言葉を促してくる知美。