王子様のヒミツ


 たどり着いたのは、使われなくなった机やイスが積み重なってる屋上前。

 ムードなさすぎなんじゃ!?とあたしが密かに思ってるなんて知らずに、先輩はポケットに両手を突っ込みながら話し始めた。

「俺3年の真野徹ってゆーんだけど、愛李ちゃん俺と付き合わない?」

「えっと・・・・・・ごめんなさい。お気持ちはすっごく嬉しいですけど・・・」

「なんで?」

「・・・はい?」

「なんでダメなの?」

 な、なんでって・・・。ダメなものはダメなんだってば!

 ほんと何この人・・・。

 先輩は答えられないあたしとの距離をだんだん縮めてきて、背中には冷たい壁、すぐ前には真野先輩が立って、もう逃げ場が見当たらなくなっちゃった。

 壁に両手をついて、先輩はまったく引き下がる気配なし。

 しかもなんだか顔が近づいてきてるような・・・。まさかキスされるパターンでは!?

 どうしよう~!!

 とっさに思いついた言葉は・・・