教室を後にするとき、冬真君をチラッと盗み見る。



机に顔を伏せている。



たぶん、寝てるのだろう。



冬真君と最初に話したのは3年になった初日。



隣の席になったわたしたちはちょっとした挨拶を交わした。



それが始まり。



それからは、1週間に1回程度言葉を交わすだけだった。



冬真君は昼間はほとんど寝ているから話すこともなかなかない。




「要、毎日のように図書室で勉強してるんだって?」



「あー、うん。まあね。これ以上成績下がったらヤバイし」




「成績、いいくせに……あれ?」




「真緒ちゃんのほうが……!」