甘い恋には遠すぎて



『あっ……やっぱり!』

隣に座った麻由子が小さな声で呟いたのを私は聞き逃さなかった。


『どしたの?』


ヒソヒソ声で聞こうとするも、麻由子の番が回ってきてしまい中断された。


『あ〜〜あの時の改札の彼女か!!』


貴也さんが、一際大きな声でそう言った。


麻由子は、コクンと頷き貴也さんを見て、目線を違う男の子に移した。


『あっ……あん時の。』

麻由子の視線の先の男の子が俯いていた顔を上げた。


茶色い少し長めの髪にピアス、やる気のなさそうな表情を浮かべ、麻由子を見てる。