甘い恋には遠すぎて



『見たんだ、クリスマスイヴに二人が歩いてるとこ。』


『そうなんだ……。あの、ごめんね、莉奈とだなんて嘘ついて……。』


『いや、いいよ。大丈夫。』


一体、何が大丈夫なんだ。


『その……デートとかじゃないの。でも……でも……私、一臣さんが……一臣さんのことが好き。』


最後の方は一気にそう告げたみや美ちゃん。


そして俯き、なぜかポロポロと涙を零している。


別に俺もみや美ちゃんも何にも悪いことしてないのに、なんだか俺が泣かしているみたいな状況だな。


『泣かないでよ。ほら、ハンカチ、使って?』


自分のポケットに入っていたハンカチを差し出す。


みや美ちゃんは小さな声で、ありがとうと言うとハンカチを受け取り、目頭を押さえた。