甘い恋には遠すぎて



『一臣を私に返して?』





『えっっ!?』




いきなりの夏稀さんの言葉に私は目を白黒させてしまった。


だって今も昔もどちらかといえば夏稀さんのモノじゃ……



『アハハハハ、なんてね、嘘よ、嘘。ごめんなさいね。』


そう言いながら涼しそうな顔をしてコーヒーを啜った。



な、な、なんだぁ、ビックリしたなぁ、もう。


『この間、一臣が店に来たわ。あなたが教えたのよね、きっと?』


やっぱり、余計な事をするなと怒られるんだろうか…私はまだ胸のドキドキが治まらずにいた。


『……はい。』


『やっぱり……。ありがとうね。』



ありがとう?まさか、ありがとうなんて言われると思ってなかったから、また驚いてしまった。