甘い恋には遠すぎて



彼女の唇から声にならない呟きが


一臣……


そう見てとれた。


お互い驚きの色を隠せない。





ずっと会いたかった−


どうしていきなり俺の前から姿を消したのか?


それだけが、ただそれだけが聞きたい。



動揺しながらも仕事をこなす夏稀。


その姿を見ているだけでなぜか涙が溢れそうになる。


こんなにも


こんなにもまだ……


忘れていた感情がフツフツと湧き上がる。


忘れていたんじゃないんだ……忘れたフリをしてただけ……。


だってあんな終わり方ねぇだろよ?!



いきなりいなくなるなんて……。