甘い恋には遠すぎて



『大丈夫……ありがとう。』


『どっかで休んでくか……?』


『……うん。』


とりあえず家の近所まで行こうかという事になり、二人で並んで歩いていた。


始終、莉奈は俯き加減だった。


よりによってあんな現場を見られちまったからかな。


俺はいろいろ聞きたいことはあったが、説教臭くなるし、カッコイイ事は言えそうにないから、黙って歩いた。




『だってお金、欲しかったの……。』


突然、莉奈がポツリと呟いた。


『なんで?なんか必要なのか?』


俺はあくまでも責めたてないよう、優しい声色で尋ねた。


『だって…だって、洋服も鞄も欲しいし……蓮と遊ぶのにもお金がかかるし。』


前者は最もらしい言い分だけど、もちろん半分以上は本音だろうけど、後者が本当にお金がいる理由なんだろう……。