甘い恋には遠すぎて



今は、背中が痛いだなんだなんて言ってらんない。


力では叶わない……


俺は周囲を見渡し、力の限りに叫んだ。



『助けてくださ−−い!痴漢です−−!!誰か−−!助けて−!』



カッコ悪くたっていい、莉奈を守らないと!


俺の声に反応し、遠くを歩いていたカップルやお店の店員さんが、なんだなんだ?と顔を出す。


『このおっさん、痴漢です−−!!誰か警察呼んで−!』


目が合った飲食店らしき店主に叫んだ。


莉奈の腕を掴んでいたエロオヤジは『警察』という響きにビビッたか、慌てて自分の鞄を拾い、走り去って行った。




ざまぁみろ!!




俺は莉奈の側に寄り


『大丈夫か?立てるか?』


声を掛ける。