俺が莉奈に気をとられている間にオヤジは、スッと俺の懐に入り込み、俺が抵抗する間もなく、手首を捕まれ……
俺はキレ〜〜に宙を舞った。
体育の授業でしか心得はないが、柔道かなんかの投げ技だろう。
−ドシンッ!!!−
見事に背中を強打……
イテテテテ、あまりの衝撃に起き上がる事が出来ない。
『兄ちゃん、喧嘩を売る相手を間違えちゃいけないな。』
そう言いながら、俺の脇を通り過ぎ、莉奈の元へ。
『さぁ、行こうか。』
莉奈の腕をむんずと掴み立ち上がらせようとする。
莉奈は、目に涙を溜め、イヤイヤと首を振っている。
しかしオヤジの力には叶わず引きずられるように立ち上がらされてしまった。
なんとかしなくちゃ!



