凄く複雑な心境……。
自分は絶対にそういう事をする人を好きにならない−−
そう決めていたハズなのに……。
『みや美?』
『あっ、ごめん、ごめん。何でもない。』
『私が夏稀さんの事で知ってることといったら、最近離婚したことと、実家の両親の具合がよくないらしくてこの街に戻ってきてるんだって。』
『……そうなんだ。』
『マスターの知り合いで、週に何回かお店のお手伝いはじめたみたいよ。』
『……ありがとう。』
『また何かわかったら教えるね。』
私は御礼を言って携帯を置いた。
麻由子が一臣さんを好きじゃないとわかって安心したけど、それより何より……
一臣さんが不倫していたという事実がひっかかり、私のモヤモヤは当分晴れそうになかった。



