目覚めて二日目は、

検査で始まり、

検査で終わった。


「お母さんは明日仕事があるのよ。ゴメンねチセ。明日は来れないわ。」


お母さんは申し訳なさそうにそうに私に言った。

「いいよ、お母さん。私は大丈夫だから。」

目覚めて始めてまともに会話をした。

私の何気ない返事にお母さんはまた涙を溜めていた。

どうやら私のお母さんは涙もろいらしい。

「チセっ、皆で頑張って行こうね。」

私の手を強く握り、

お母さんはしばらく顔をシーツに埋めていた。


お母さんが帰って私は桐生さんと二人だけになった。




「今日はお疲れ様。検査で疲れただろう。もう眠ったら?」

桐生さんは私の肩までそっと布団を被せてくれた。

桐生さんはノートに何か書いていた。

私が見ているのに気付くと

「どうした?眠れないの?」

と言った。

「はい、3年も眠ってたのであと5年は眠らずに大丈夫かな。」

私は少し笑った。

「そうだね、すっごく長かった。君はいつも寝言言ってたよ、起きてるんじゃないかなって思うくらいはっきりした寝言。」

桐生さんも笑った。

私は寝言言ってたと知って、

全身が、かぁっと熱くなった。

「恥ずかしい、」

私は顔に布団を被った。

「チセ。眠れないなら寝れるまで付き合うよ。5年だって10年だって。チセの居ない1年よりずっとずっと幸せだからね。」

一日目は皆、顔が緊張してた。

でも、

今日はみんな表情が柔らかだ。




桐生さんのこの声と

優しい笑顔が



凄く大好き。



たぶん、

私は記憶が無くても・・・



死んで生まれ変わっても・・・



何度も何度も何度も・・・



永遠に桐生さんに恋すると思う。



記憶が無くても

体と心が覚えてる。

全身全霊で恋してる。




私はもう目覚めた時から恋してたんだ。