「今日は脳と身体の検査を行います。それによって、これからの治療が変わっていますから。」


医者は抑揚のない声で淡々と続けた。


私は言われるがままに検査を1日受けた。

検査はよく分らないものばかりだった。

初めてでとても不安だった。

でも、

待ってる間は
お母さんと桐生さんが一緒に居てくれていた。

検査室に一人で入らなくてはいけない時、

私は、
改めて桐生さんの存在の有難さと、
両親の私への必死な努力に支えられているという事が分った。


正直、記憶がなく、

いまいち、母、父と意識はしていなかった。

でも、

紛れもない真実として

私はお父さんやお母さん、

そして

桐生さんを

早くも受け止められるようになっていた。