目覚めた時にはあの女性も

そして痛みも無くなっていた。

横では頭を抱えた桐生さんがいた。


重たいくらい雰囲気が漂っていた。


「桐生さん・・・」


声に気付きぱっと桐生さんは顔を上げた。


そして私の近くに寄った。


髪は乱れ

目は真っ赤

顔色は真っ青。

「よかった・・・。」

そういって桐生さんは私の手を両手で握った。

その手は冷たく

そして酷く掻き毟った痕があった。

「大丈夫よ。聞いて、桐生さん、私は少し記憶が戻ったの。」

でも、
思い出した記憶を
言葉に出して表現しようとすると、
とても言葉には出来なかった。


「わ、私のお姉ちゃんは死んだのね?」

涙が零れてきた。

「私を助け様としたばかりに。」

目に浮かぶ恐怖の画。


血が顔にべっとりと付いている。


私は震えだした。

どんどん呼吸が速くなる。

「チセ!!チセ!!」

私は奇声を発していた。

ベッドで暴れる。

私を必死で桐生さんは落ち着かせようとした。


呼びかける

「チセ、チセ、大丈夫だよ。無理に思い出さなくていいんだよ。」