目の前には真っ白な白い天井があった。

初めはぼんやりとしか見えていなかった視界は、

霧が晴れるように徐々に鮮明になっていった。

暖かい空気。

しかし、

雰囲気はまるで

厳寒の候のように

鋭く残酷のように思える。
 

私はここが病院だということはすぐ分かった。

小さな機械音が規則的に一定のリズムで脈を打つように流れ、

真っ白な清潔な景観にベッド。微かに聞こえる自分の呼吸。
 


「目が覚めたのね!!」
 


横で甲高い女の声がした。

でも、


いくら動こうとしても体に力が入らない。
 

「先生を呼んでこなくては。」
 今度は低いしゃがれた男性の声だ。



どちらも興奮している。



ばたばたと忙しく足音が聞こえる。
 


私はやっと辛うじて首を動かし、

周りを把握しようとした。

ゆっくりと左を見る。

そこには窓があり、一人の若い男の人が突っ立っていた。

私を見つめてる。

黒いラインの入ったスーツ

 ブラウンの髪
 
 真っ白い透き通った肌

 ほんのり赤い唇

 整った顔

 少し日本人離れした美形だ


 横では

 甲高い声主で40代後半と思える
 
 すらりとした風貌の女の人が
 
 私に必死にすがりつき声をかけていた。