「ふぁい……」


そう言ってポケットの中から出された右手。
それと共に解かれた手。


「あーあー。……離せとは…言ってない…」


いやいや。声小さくとかなってないよ?
照れてなんていないから。


「全くしょうがないなー」


……ウザ。
何で笑ってんだ。
口元がニヤケてんのバレてますから。


絡まった指。

縮まった距離。


「チョーシ乗んなよ」


「ごめんね。遥チャン」


「遥先輩と呼びたまえ」


「イ・ヤ」


「言っとくけど、可愛くないからね?」


…落ち込むな。キモいから。