廊下の先の方からは何人かの女の子達の声。
これはまずい。絶対にまずい。
アタフタと慌てていると「ちっ」と頭上から舌打ちが聞こえてきて、声のする方を見ている湊君の表情はやっぱりキラキラ王子様とはかけ離れていて、目が合うと湊君はそっと私の髪に触れた。
「お前、先に行け」
「え?あ、うん」
「あっちの廊下から行けば鉢合わせない」
「分かった」
湊君にそう言われ、慌てて駆け出そうとすると頬に優しく手が触れた。
「陸」
また…名前…
「何?」
誰かに見られてしまうかもというドキドキなのか…それとも名前を呼ばれた事に対してのドキドキなのか…
胸がざわつく。
「次の休み、出かけるぞ」
「え…?」
思わず止めてしまった足、だけと女の子達の声はどんどん近づいてくる。
「それって」そう言いかけたところで
「見つかりたくないなら行け、まぁ俺は別にいいんだけど」
トンっと優しく背中を押してきた湊君は口角をゆるりと上げて私とは反対方向に歩いて行ってしまった。



