「そんな事になるなら、あの時俺がお前を誘えば良かった」
「え?」
「当日は俺がリードするから練習しなくても平気だと思ったんだよ」
良く分からない話しに首をかしげると、会長は小さな溜息を吐き出して私を見下ろす。
「今度から何か困ったことがあったらすぐ俺に相談しろ」
どこか不機嫌そうに、だけど何処か照れたようにして私を見て来る会長は
「五十嵐にばっか頼るんじゃねェよ」
なぜだか少し可愛いく見えて、胸がちょぴっとだけドキンっと動いた。
「会長って…見かけによらず優しいですよね!!」
そんな胸の音を誤魔化すようにして笑顔を向けると、会長はそんな私からすぐさま顔をそらしてしまう。
「…優しくねェよ」
「そんなことないですよ!何だかんだ言っていつも私の事助けてくれるじゃないですか」
だから…胸の音を誤魔化そうとしていた私は気が付かない。
「誰にでも優しいわけじゃねェよ」そう言って小さく呟いていた会長の言葉を。



