うつむきながら自分にそう言い聞かせたとき、
コンコンっと軽快な音が背中からしてきて、まさか湊君が戻ってきたんじゃないかという緊張感が走る。
だけど扉を開けた先に立っていたのは会長だった。
「あ…会長」
そうだ!私桜先輩に会長を迎えに行くよう言われてたんだ!!
「行くぞ、時間だ」
その身は黒のタキシードに身を包み、そして茶と金のメッシュはいつもと違い後ろに流れるようにしてセットされているせいか、さらに色気が増している。
「すみません、遅くなってしまって」
会長に言われるがまま部屋を出るけれど、大理石の広がる廊下には人っ子一人いなくて、もうすでに皆んなはパーティー会場に行っているようだった。



