身体中の血液が加速し頭へと登っていく。
それでもそれを否定するかのようにしてドレスの裾を握り締める私はバカだ。
私ドキドキしてる…
湊君にドキドキしてるんだ……
後ろを振り向けば、大きな鏡に映る着飾った私。
その顔はやっぱりどっからどう見ても紅色に染まり、ドレスと同化してしまいそうなほど…
「…っ」
声にならない声が口から出て、そしてほてる頬に手を置いた。
何ドキドキしてるの。きっと湊君は女の子皆んなにあんな態度なんだから…
学園の王子で優しくて完璧で…学園中の女子達がそう口を揃えて言う存在。
そして私達は好き合ってる訳でも何でもない…ないんだから…ドキドキするのなんて間違ってる…



