「じゃあ陸ちゃん、私達司会があるから先に行くね。後で会長と来て」
「あ、はい!分かりました」
そう言って紺色のロングドレスに身を包んだ桜先輩と、薄い紫色の着物を見にまとった梨々子先輩が扉から出て行く。
大人っぽい二人とは違って、チビで童顔な私。
目の前に映る鏡を見て思わず小さなため息が漏れてしまう。
鏡に映るのは真っ赤なマーメイドドレス。
ふわりとしたスソが優しく足元を包み込んでくれる。
最後の仕上げに、ふわふわに巻いた髪をまとめてドレスと同じ色の小さな花を添えた。
あれから、朝陽先輩とは三回ダンスの練習をした。お互い忙しいからそんなに時間は長くなかったけど…それでもやっぱり嬉しくてやたらと練習がはかどったほど。
だからこそ、今日は緊張してしかたない…ちゃんと上手く出来るかな…あれだけ練習したんだもん。出来るよね。
コンコンっと軽いノック音がして、それに向かっていつか母様からもらったピアスをしながら「はいっ」って返事をするけれど、それに対して何か聞こえてくる事は一向になくて
もしかして会長がお迎えに来てくれたのか?
「会長今行くので待ってて下さーい!」
脱いでいたヒールを履き直して立ち上がり、振り返ったところで
「きゃっ!ビックリしたー」



