「俺と付き合えよ」
赤くなる顔を隠すようにして、片手で覆っている私の手を掴むとそんな事を言ってくる湊君。
「何…言ってるの」
付き合うって…私と湊君が?
「婚約が嫌なら好きになれば良い。そしたらお前的には問題ないだろ?」
「でも…私には好きな人いるのに」
「じゃあ偽恋人、正式な婚約が決まるまで偽恋人として恋人ごっこをする。その間に俺の事を好きにさせてやるよ」
そうやって堂々と言ってのける湊君はやっぱり誰が見ても魅力的な男性で、思わずドクンと胸が一度鳴る。
偽恋人って…
まぁ確かにそれで上手いこと恋愛出来たら婚約に不満を抱く事はないけど…
でも私は朝陽先輩が好きで、それがそんな簡単に変わる事はない。
「偽恋人って言っても、もちろんお前が俺を好きになるまで手出しはしねェよ」
本当かな…?
散々近付いてきたりキスしたのに…



