「もちろん、親が決めたなんて認めない」 「それなら!」そこまで言った私の言葉は王子なんかとは程遠い悪魔のような意地悪な笑みで 「“今は”な」と付け加えられた。 今は…? それってどういう意味なの… 怪しげな笑みはどこか色気が含まれていて、そして魅力的な雰囲気がある。 「それに婚約って言っても正式なのはまだ先だ。それまで時間はたっぷりあるからな」 まるで独り言のように呟かれた言葉は 最後はドアの方へと消えて行った。